「キッチンを対面にしたい」や「お風呂を広くしたい」などマンションの水回りでこんな風に思っている方は多いのではないでしょうか。
そもそも水回りとはキッチン・トイレ・洗面・お風呂をさしますがマンションをリノベーションする時に、これらの水回りはどこまで移動できるのか？
キッチンや洗面・お風呂は比較的容易に移動できますが、トイレは難しいのが現実。
今回は、水回りの移動の注意点について説明していきます。
水回りの移動で覚えておきたいこと
水回りの移動を考える前にまずは覚えておきたいことがあります。順に説明していきます。
PS（パイプスペース）
マンションの間取り図をみていると「PS」と書かれた所があります。これは「パイプスペース」といって、水回りの近くと共用廊下に面して必ず配置されています。
各水回りの排水管は、室内のパイプスペースに接続され最終的に共用廊下に面したパイプスペースに接続されます。パイプスペースは、上下階と繋がっている為位置を変えることができません。
スラブ上配管・スラブ下配管
マンションでは、「スラブ」という物があります。スラブとは、床を支えるコンクリートの事です。
このスラブの上で排水管がある場合を「スラブ上配管」といい、スラブの下に排水管がある場合を「スラブ下配管」と言います。
画像出典／マンションリフォーム推進協議会
スラブ上配管は、床とスラブの間で配管されているので水回りの移動の自由度が高いです。一方スラブ下配管は、下の階の天井裏とスラブの間で配管されているので、水回りの移動の自由度が低くなります。
雑排水と汚水
マンションに限らず排水には、「雑排水」と「汚水」という管があります。雑排水は、キッチンや洗面・お風呂の排水を流す管を言い、汚水はトイレの排水を流す管を言います。
雑排水と汚水はそれぞれ別で流さなといけない。というのが基本ルールです。その為、トイレの位置にキッチンを移動して元々あったトイレの排水管をキッチンに接続する。といった事はできません。
つまり「雑排水は雑排水」「汚水は汚水」と言う接続はできる。ということです。
水回りの大きな移動はさける
マンションの水回りの移動は、あまり大きく移動させない。というのが基本です。大きく移動することもできますが、排水の詰まりや排水を流すのに必要な勾配が長くなり、リスクが大きくなります。
ではそれぞれどのように対応するのがいいのか？を見ていきたいと思います。
キッチンは向きを変える
壁付けキッチンから対面キッチンにしたい場合、今のキッチンの位置から近い場所に移動するのは比較的簡単です。但し床下に排水管を通すことが多いため、キッチンの床が1段上がることが多いです。
キッチンの床をフラットにしたい場合は、キッチンの前に「腰壁」と言うものを作って腰壁内で配管することもできます。
トイレの位置の変更は難しい
ほとんどのトイレには、すぐ近くに汚水管専用のパイプスペースが配置されています。この汚水管とトイレを接続する配管は床よりも上に設置されていることが多く、トイレを大きく移動すると勾配が急になり詰まりの原因になります。
トイレは位置を変更するのではなく、便器の向きを変えたり入口を変えたりで対応するほうが後々の事を考えるとおすすめです。
洗面の位置変更は容易
「洗面を玄関の近くに移動させたい」や「洗面と脱衣を分けたい」という要望が多くなっています。洗面は、他の水回りに比べて移動が比較的容易にできる部屋です。
その理由として洗面の排水勾配は、他の水回りに比べて取りやすくまた詰まりの原因となる物を流す頻度が少ない為です。
お風呂の移動はコストアップを覚悟
お風呂は他の部分に比べて、位置を移動するとコストが大幅にアップしてしまいます。お風呂は特に配管や電気などの工事が必要な場合が多く、今の位置から大きく移動するとその分の費用がアップしていまします。
そのため、お風呂は今の位置を基本とし「入替」とする方がコストを抑えられます。
水回りを大きく移動するほど床が高くなる
マンションでは、水回りの配管は「床下配管」という方法で施工される場合が多いです。排水を流すには「勾配」が必要な為、排水管には勾配が付けられています。
パイプスパースから近ければ近いほど排水管の勾配は緩くなり、パイプスパースから遠ければ遠いほど排水管の勾配は急になります。
排水管の勾配が急になればなるほど、床下の高さが必要になるので床が高くなってしまいます。床が高くなるという事は、その分天井高さも低くなってしまうので「水回りは大きく移動しない」というのがマンションリノベーションでは基本と考える方が良いです。
まとめ
今回のおさらいです。
- 雑排水と汚水は別々
- 水回りの大きな移動はリスクが大きい
- 水回りを大きく移動すると床の高さが高くなる
リノベーションで今の水回り位置を変えたい。というご要望は多いのですが、基本は大きな位置移動は避けるのがベストです。大きく位置を変更することで排水の詰まりや逆流などの原因になる可能性が高くなってきます。
キッチンや洗面の向きを変えたりする程度にとどめ、設備機器を新しくする。といった考え方の方がリノベーションでは向いています。水回りは、生活のライフラインの為あまり無理な変更は避ける。という事を考えてこれからリノベーションを検討していってはいかがでしょうか。
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